第三回 慰安婦問題を巡る 国際シンポジウム 2024

 7月10日に東京の星陵会館にて「第三回 慰安婦問題を巡る国際シンポジウム2024」(主催:国際歴史論戦研究所)が開催されました。歴史認識問題研究会も協催として参加し、西岡力会長とジェイソン・モーガン副会長が登壇しました。
 二階席も必要になるほど多くの方々がご来場くださりました。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。

 午前中は基調講演が行われ、当研究会会長の西岡力氏からは「歴史認識問題としての慰安婦問題」、李承晩学堂校長の李栄薫氏からは「日本軍慰安婦の問題が韓国社会に及ぼす破滅的効果」、ハーバード大学ロースクール教授のマーク・ラムザイヤー氏からは「歴史問題と米国大学の問題 ― これからどうすべきか?」が話されました。

 西岡氏は、1982年の第1次教科書問題(中学歴史教科書で(中国)華北への「侵略」が「進出」に書き換えられたという誤報事件)や1991年の慰安婦問題で当時の日本政府が謝罪という安易な姿勢に立ち、事実に基づいた反論を行わなかったことが問題であったと指摘しました。そして、歴史の嘘を国際社会に拡散させた日本と韓国の勢力にはそれぞれの動機や理由があり、それらが鍵穴と鍵のように作用してしまった経緯を丁寧に解説しました。

 李栄薫氏は、長年にわたって研究を継続してきた結果、慰安婦の強制連行説や性奴隷説を実証できる根拠は確認できなかったことを改めて強調しました。当時の民間の娼妓と同じように、日本軍慰安婦も貧賤回想の親権者が周旋業者から相当金額の前借金を受けて娘の慰安婦就業を承認した年季労働契約の結果で売春業に進出した女性たちであったと説明しました。歴史の事実に基づかない挺対協などの日本軍慰安婦運動は韓国人の知性と良心を麻痺させる深刻な問題であることも指摘しました。

 ラムザイヤー氏は、2020年に発表した「太平洋戦争における性サービスの契約」という8ページにも及ばない論文に対して過剰とも言える批難が巻き起こったことを振り返りました。原因の一つに、西洋大学の日本専門家の学者たちは自身のイデオロギーが重要であり、学問における実証を無視していることを指摘しました。朝鮮人の慰安婦が単なる売春婦であったことは歴史的資料で証明されているにもかかわらず、欧米大学における学問の自由が侵害されている状況は学生に全く根拠のない物語を押し付けているに過ぎないと話しました。

 

 午後からは個別の研究発表が行われました。以下、発表者とテーマを記載します。研究内容は本年9月下旬に発行の『歴史認識問題研究』第15号に詳細させていただく予定です。

柳 錫春 (元延世大学 教授)
「延世大講義 名誉毀損刑事事件 第二審の争点」


福井 義高 (青山学院大学教授)
「慰安婦をめぐる事実と価値判断の間:経済分析の観点から」


金 柄憲 (国史教科書研究所所長)
「2023 年日本国を相手にした慰安婦訴訟判決文と教科書の記述」


李 宇衍 (落星台経済研究所研究 委員)
「韓国メディアの慰安婦問題に関する報道動向」


松木 國俊 (国際歴史論戦研究所 上席研究員)
「慰安婦訴訟~日韓関係を破壊する個人請求権 復活の危険」


ジェーソン・モーガン (麗澤大学 准教授)
「The Comfort Women Hoax~慰安婦問題という詐欺の終焉とこれからの課題」

 最後に、登壇者全員から今後の提言が行われました。歴史の嘘に立ち向かい、真実を世界に広めるために今後も精力的な学術活動と連携を深めていくことでシンポジウムは終了いたしました。

西岡力会長(写真右側)による提言場面


ジェイソン・モーガン副会長(写真左から3番目)による提言場面