「歴史認識問題研究会」呼びかけ文

2016年9月7日

 自国の歴史をいかに認識するかは、他国の干渉を許してはならない国家・民族の独立を支える支柱だ。ところが、事実無根の日本を非難する歴史認識が外交を阻害し、わが国の名誉と国益を大きく傷つけている。本来なら歴史認識問題は外交課題ではなく、学問的課題とされるべきことだ。国、民族が異なれば歴史認識が一致することはあり得ない。だから、近代国家は国家同士の利害が衝突する戦争が終わった後、条約を結び領土を割譲し賠償金・補償金を払って外交的に過去を清算してきた。わが国も大東亜戦争の清算を、7年間の占領後に結ばれた講和条約で終えた。東南アジア諸国、韓国、中国などとも条約・協定に基づき賠償や補償などを実施して過去の清算を終えた。

 ところが、1980年代初めわが国マスコミの誤報を契機として「第一次教科書事件」が起き、歴史認識問題が新たに外交課題とされた。その後、首相の靖国神社参拝への干渉が始まり、ついに1990年はじめの「慰安婦問題」の勃発で、歴史認識問題でわが国が外交的に一方的に責められる構図ができてしまった。その結果、事実無根の日本を非難する反日歴史認識が外交を阻害し、わが国の名誉と国益を大きく傷つけてきた。

 中国、韓国などが歴史認識問題を外交に持ち出すのはそれぞれの事情がある。しかし、彼らが使っている日本批判の材料の多くは最初に日本の反日マスコミ・学者・運動家が持ちだしたものだ。私たち心ある日本の有志はこれまで、国内の反日勢力に対して事実に基づく反論を行ってきた。その結果、朝日新聞が慰安婦報道の一部の誤りを認め謝罪するなど国内の論争ではそれなりの成果があった。しかし、国際社会ではまだ、反日勢力の影響力が強い。わが国政府は体系的かつ組織的な反論をいまだに本格化させていない。そこで私たちは、わが国の名誉を守る基礎研究をするために本研究会に集まった。

 私たちは主として4つの事業を行う。第1に、歴史認識問題をめぐる今日的状況の研究を行う。それがいかなるプロセスでどのような勢力により表面化し拡散していったかについて、背景にある動きを含む体系的研究を行う。第2に、歴史的事実に関する実証研究を行う。それによって歴史認識問題にまつわる日本非難に対して、当時の歴史的事実に基づく反論の材料を提供することができる。若手研究者育成も進めたい。第3に、関係者の証言の整理や散逸している関係資料の収集を行う。事実に基づく反論のためには、まず第一次資料の収集が必要不可欠だ。第4に、これらの研究を土台にしてネット発信、外国語冊子発行、研究書翻訳事業など国際発信を行う。また、必要に応じて政府や関係機関などへの提言も行う。

 以上4つの事業のため、公開シンポジウムと研究会の開催、研究誌『歴史認識問題研究』発行などを行う。わが国の名誉を守るための本研究会の活動に多くのご支援を頂ければ幸いだ。