公開研究会「慰安婦問題をめぐる日韓関係の最前線」を開催いたしました。

皆様

 歴史認識問題研究会は6月21日に公開研究会「慰安婦問題をめぐる日韓関係の最前線」を開催いたしました。厳しい暑さの中にもかかわらず、多くの方がご来場してくださりましたこと、この場をお借りして御礼申し上げます。

 柳錫春先生(写真左)の発表の様子 ※写真右は通訳の崔碩栄先生

 大学の講義で慰安婦は売春の一種であったという趣旨の発言をした柳錫春先生(延世大学元教授)は慰安婦の名誉を傷つけたとして刑事告訴されました。2025年に最終結審し、慰安婦を売春の一種であったという発言と挺対協(現 正義連)を「新北団体」とした発言は学問の自由に該当するとして無罪となりましたが、挺対協の教育で元慰安婦の証言が変わったという柳先生の講義中の発言は「虚偽事実の適示」に該当するとして罰金200万ウオンの有罪となりました。

 柳先生は公開研究会の中で、「学問の自由」で有罪か無罪かを決めるのではなく、歴史事実究明の観点から裁判を進めるべきだったと述べました。裁判所は柳先生を起訴した検察側に名誉を傷つけられた元慰安婦を確定し、その具体的な被害内容(日本軍に強制連行された証拠など)をまとめて提出するよう求めました。しかし、検察側は最後まで証拠を提出することが出来ず、日本軍に強制連行された被害者が確認できなかったことが暴露されました。「挺対協の教育で元慰安婦の証言が変わった」という点に関しても、柳先生は証拠を提出しましたが、裁判所は採用せず、言及もしませんでした。

 発表の最後に、柳先生は自身の裁判中にも慰安婦強制連行に疑義を呈する発言をした大学教授が現れたことに触れ、歴史の事実が韓国内でも徐々に広がりつつあることを示唆しました。しかし、柳先生同様に該当の教授たちも迫害を受けていると説明し、韓国内の問題を浮き彫りにしてくださいました。

 当研究会の西岡力会長も登壇し、李在明政権下における今後の日韓関係について発表されました。大統領選後、李大統領は反日的な発言を控えていますが、彼が掲げている公約に「強制動員・日本軍『慰安婦』関連資料構築拡大」等が盛り込まれている以上、楽観はできないと指摘しました。
 日本政府のとるべき対応としては、歴史問題に関して新たな謝罪はしないこと、歴史的事実に対して曖昧な態度をとらないこと、国連などの国際社会での歴史的真実発信を民間と協力して行うことを提示しました。

 柳錫春先生(写真左)と西岡力会長(写真右)

 公開研究会の内容は本年9月末に発行の『歴史認識問題研究』第17号に掲載いたします。また、録画映像(当日配布の資料付き)も販売する予定ですので、今しばらくお待ちください。
 今後とも、歴史認識問題研究会を何卒宜しくお願い申し上げます。