西岡力会長の今週の直言

皆様

 当研究会の西岡力会長が国家基本問題研究所の「今週の直言」にて、国連の女子差別撤廃委員会が皇室典範の改正を勧告したことに抗議する意思を示した日本政府を支持することを表明しております。

 以下、国家基本問題研究所のサイトと西岡会長の記事を記載いたします。

国家基本問題研究所「今週の直言」
      【第1220回】国連委への拠出金使用拒否を強く支持する

                        西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授)

 政府は、国連の女子差別撤廃委員会が皇室典範の改正を勧告したことに抗議する意思を示すため、国連人権高等弁務官事務所に対する任意拠出金の用途から同委員会を除外することと、本年度に予定していた委員の訪日を見合わせることを決めた。1月29日、北村俊博外務報道官が記者会見で明らかにした。国連機関による内政干渉に対する当然の抗議措置であり、強く支持する。

 ●内政干渉への抗議は当然
 昨年10月29日、委員会は皇位継承を男系男子に限る皇室典範について女子差別撤廃条約と「相いれない」として改正を勧告した。政府は、勧告作成過程はもちろん、勧告が公表された後も、皇室典範部分の削除を求めてきたが、委員会はそれを受け入れなかった。そこで委員会のウェブサイトに次のようなわが国の考えを掲載させていた。
 「皇位につく資格は基本的人権に含まれていないことから、皇室典範で皇位継承資格が男系男子に限定されていることは、女子差別撤廃条約にいうところの『女子に対する差別』には該当しない。また、皇位継承の在り方は、国家の基本に関わる事項である。こういったことから、女子差別撤廃委員会で皇室典範を取り上げるのは適当でない。皇位継承に関する規律は受け入れられず、削除されるべきだ」
 これに対して朝日新聞は「意に沿わないからといって、拠出金を使わせないというのは、国連中心主義を外交の原則のひとつに掲げてきた日本政府への信頼を損ねる」と1月31日付の社説で批判した。
 朝日の国連に関する認識は間違っている。国連は主権国家が内政干渉をされないという前提で加盟する互助組織である。国連憲章には「いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国連に与えるものではない」(第2条第7項)と明記されている。だから、加盟国にとって国連は国益を拡大するために利用すべきものであって、国益に反する勧告が出たなら抗議を行い、その意思を表す措置をとって再発を防ぎ、それでも是正されないなら、関係条約からの脱退などを考えるのが独立国の外交として当然で、それが真の「国連中心主義」だ。

 ●問題多い女子差別委
 特に、昨年11月5日の本コラムで書いたように、女子差別撤廃委員会は、加盟国代表ではなく各国政府から独立した専門家によって構成され、これまで約30年間、内外の反日民間団体がこれら専門家に働きかけてわが国を誹謗する勧告や報告を出させてきた経緯がある。2016年には「われわれの最終見解では、慰安婦問題は(日韓政府間の2015年12月28日の合意にもかかわらず)まだ解決されていない」と書いている。
 外務省はわが国の国益という観点から国連機関の活動を総点検し、拠出金停止や条約からの脱退を含む措置をより積極的に使っていくべきだ。(了)

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