皆様
3月11日の最高裁判断が下され、西岡会長の勝訴が確定いたしました。本裁判で特筆すべきは、西岡会長の「完全勝利」となった点です。植村氏や彼を支えていた会の人々(植村裁判を支える市民の会、以降「市民の会」と略)は西岡会長の言論を封殺しようとしましたが、結果的に自分たちの首を絞める形となりました。植村氏が一人の言論人として言論での論争に臨んでいれば、このような結果を迎えなかったことでしょう。
『WiLL』2021年5月号では、強制連行説が完全に崩壊したことを西岡会長が説明しております。是非、ご一読下さい。
「市民の会」HPでは、植村氏と彼の弁護士団などが3月12日付で声明を発していますが、裁判で明らかにされた植村氏の事実隠蔽行為には目を向けず、西岡会長の主張を大きく歪曲しています。
以下、「市民の会」で掲載されている全声明文を分析し、反論いたします。
植村氏の声明を要約すると以下の2点になります。
②金さんが初めて弁護団の聞き取り調査に応じた1991年11月25日録音のテープを高裁で新証拠として提出した。ここで金さんは「キーセン」について一言も触れていない。私(植村氏)は記事の前文で「弁護士らの元慰安婦からの聞き取り調査に同行し、金さんから詳しい話を聞いた。恨の半生を語るその証言テープを再現する」と書きました。証言テープで触れられていない内容を記事に書くはずがない。
①に関して
西岡会長が既に反論済みです。
真相は、「訴状には身売りに関する直接的表現はないが、西岡会長は訴状と韓国紙の文章を読んだ上で、実質『親に身売りされた』と総合的に判断した」のです。
以下、公益財団法人 国家基本問題研究所の「今週の直言」における西岡会長の反論(2020年3月10日)を改めて紹介いたします。
植村氏らが問題にしている西岡会長の『よく分かる慰安婦問題』でのハンギョレ新聞引用の誤りは、植村氏が裁判を起こす前の2014年9月5日発行の文庫版第2刷で訂正しています。また、週刊文春の西岡会長の談話に「親に身売りされて慰安婦になったと訴状に書き」とあるが、金学順氏の訴状にはそのような記述はないと植村氏たちは非難しています。しかし、訴状には、貧乏のため普通学校をやめ、養女となってキーセン学校に通い、養父に日本軍慰安所に連れて行かれた、と書いているのです。当時の社会状況を知る専門家からすれば、この記述は「親に身売りされて慰安婦になった」ことを意味します。「学術書ではない一般向けの談話だから意味することを端的に語っただけで、捏造、つまり意図的にウソをついたという批判は全く当たらない」と西岡会長は反論しています。
・「キーセン」と「養父に連れられて中国に渡った」ことが明記されている訴状
(p.51)
②に関して
当HPにて反論済みです。【(東京高裁解説)植村氏側が新証拠として提出した金学順氏への聞き取り取材テープに関して(その4)】
結論から申しますと、今頃そのような指摘をしても無意味です。
今になって、「テープでキーセンに売られた話が無かった」ことが判明したとしても、当時は誰も知らなかったというこ とになるので、西岡会長が植村氏の記事を捏造と主張しても真実相当性があるということになります。
時系列で整理すれば、金氏が11月テープ以前に「キーセンで売られた」と発言している事実は直ぐに判明します。
さらに、植村氏側が提出した録音テープは完全なものではないと高等裁判所に指摘されています。テープに録音されていない証言内容があること自体は植村氏も認めており(東京高裁判決文、p.29)、これを新証拠と称する意図が分かりません。
次に、植村氏の弁護団が出した声明は次の3点に要約できます。
②東京地裁判決は、植村記事中「女子挺身隊の名で」という記載は「強制連行を意味する」との前提で、植村氏は意図的に事実と異なる記事を書いたと認定した。しかし、植村氏において強制連行をでっち上げようという悪しき意図があったとすれば、「だまされて慰安婦にされた」等と書くわけがない。
③東京高裁判決においては、植村氏が、金氏が妓生に身売りされたとの経歴を知っていたのにあえてこれを記事にしなかった事実や、植村氏が義母の裁判を有利にするために意図的に事実と異なる記事を書いたとの事実について、真実性が否定されている。この意義は極めて大きい。本判決により「身売り」説が真実に反するとの判決が確定したのであるから、以後、同様の虚偽宣伝をくり返すことは許されない。
①に関して
裁判所は西岡会長が「植村氏を攻撃した」ことを証明する証拠はないと明記しています(東京高裁判決文、p.28)。植村氏側の言いがかりであり、判決そのものを否定する野蛮な主張でしかありません。これが現役の弁護士たちが出した声明であることに驚きを禁じえません。
②に関して
「強制連行をでっち上げようという悪しき意図があったとすれば、『だまされて慰安婦にされた』等と書くわけがない」とありますが、では、なぜ金学順氏が当時語ってもいない「日本軍によって無理やり連行され、慰安婦にされた」ことを植村氏は書いたのでしょうか。
当時の金氏はキーセンの学校に通い、養父に日本軍の慰安所まで連れて行かれたと証言していました。日本軍によって無理やり連行され、慰安婦にされたことなど話していません。ところが、植村氏は彼女が話していた「キーセンに売られた」という本当の経歴を隠し、「日本軍による強制連行」という彼女が一度も話していないウソの経歴を書いたのです。裁判所はそれを捏造だと評した西岡会長の言論を真実だと認めました。悪しき意図うんぬんの議論は裁判の過程で破綻したのです。それをここに持ち出す意味が分かりません。
③に関して
この件に関しては、東京地裁から「真実相当性」とされています。むしろ、東京高裁は地裁判決を西岡会長の主張を補強するものでした(東京高裁判決文、p.22)。
「身売り」説が真実に反するとの判決が確定したのではなく、むしろ、西岡会長が各資料を統合して「(金学順が)キーセンに身売りされ」たと主張したことは「相当の理由がある」と判断しました(東京高裁判決文、p.20)。弁護士ならば判決が真実相当性を認めたことの意味が「真実に反するとの判決が確定した」ことではないことは知っているはずです。真実相当性が認められたので、西岡会長を含む植村記事批判者たちが身売り説を主張したことは名誉毀損による賠償責任の対象にならなかったのです。
日本ジャーナリスト会議の声明の要点は次の3点です。
②実際の金さんは中国で、日本軍人によりトラックで慰安所に連行され、将校級の男からいきなりレイプされた。その悲痛な証言は無視されたままだ。
③迫害されているジャーナリストの支援を、日本ジャーナリスト会議は大きな活動目的のーつに掲げている。言論を脅迫と暴カで抑え込もうとする勢カとの闘いに、これからも全カで取り組む。
①に関して
上記、植村氏の声明①と同じです。
②に関して
1991年の金氏の訴状内容と異なっていることに関して言及がありません。
なぜ証言内容が変化したのかを説明できなければ、日本軍による強制連行など証明できません。植村氏の捏造記事の影響力の大きさが窺えます。
③に関して
「言論を脅迫と暴カで抑え込もうとする勢カ」とは自分たちのことであることに気が付いていません。西岡会長も度々ご指摘されていますが、言論人ならば言論で反論すべき(『WiLL』2021年5月号、p.35)です。裁判に持ち込み、言論の自由を抑圧した植村氏たちはジャーナリストの風上にもおけない存在です。
メディア総合研究所の声明では裁判に関して2点言及されています
②被告の西岡氏(や櫻井氏)は、いずれの法廷でも植村氏の記事を「捏造」と断定した根拠を示すことができず、かえって自身の主張の一部を訂正することを余儀なくされた。
①に関して
「根拠のない情報を流布」させた(捏造記事を書いた)のは植村氏であることが西岡会長との訴訟で裁判所により認められました。この事実を認識できなければ、「この国の言論空間をさらに歪んだものにしてしまう悪影響」を与えるのはメディア総合研究所と言えるでしょう。
②に関して
西岡会長の裁判では、植村氏は捏造記者であることが断定されました。
(東京高裁判決文、p.26より引用、【】は文責者註)
控訴人【植村氏】が、金学順が「女子挺身隊」の名で戦場に強制連行され、日本人相手に売春行為を強いられたとする事実と異なる記事をあえて書いた(裁判所認定摘示事実3)との各事実を摘示するところ、(中略)裁判所認定摘示事実3については真実性が認められ、・・・
後半部分は植村氏の声明①と同じです。
日本マスコミ文化情報労組会議の声明では裁判に関する言及は見当たりませんが、主張内容はメディア総合研究所の声明と大差ありません。
「市民の会」では、一連の裁判を「民主主義」や「ジェンダー平等」の広がりに逆行するもので、強く抗議し批難すると主張しています。しかし、これまで述べてきたように、植村氏は金学順氏の証言とは異なる内容(日本軍に強制連行され、慰安婦にされたという記事)を書き、記事を捏造したことが明らかとなりました。事実を受け止めなければ、「民主主義」や「ジェンダー平等」の広がりに逆行する存在は「市民の会」となるでしょう。
(文責者:長谷 亮介)