韓国で製作された徴用工像のモデルが日本人であったという指摘は、既に日本国内でも浸透してきていると思います。
※上記画像参照;1926年9月9日付の『旭川新聞』の写真
(https://www.sankei.com/world/news/190319/wor1903190024-n1.htmlより引用)
しかし、そのことで像製作者側が「名誉棄損」で裁判を起こしていることを皆様ご存知でしょうか。
2019年12月2日に歴史ファクト資料展示会がソウル市内で開かれ、反日銅像真実糾明共同対策委員会(以後、「共同対策委員会」と呼称)創設の記者会見が行われました。
[写真提供:共同対策委員会]
「『歴史歪曲反日銅像設置中断せよ』…反日銅像真実糾明共同対策委員会が
記者会見」
『中央日報』日本語版、2019年12月3日配信
https://s.japanese.joins.com/Jarticle/260143より引用
写真には『反日種族主義』の作者の一人である李宇衍氏(写真右から2番目)と当研究会が10月に開催したシンポジウムに登壇して下さった金基洙弁護士(写真左から2番目)が見えます。
委員会の人々は、「徴用工像のモデルは日本人」と主張したことにより、銅像の製作者(金氏夫婦)に訴訟を起こされましたが、この日、「韓国民の名誉を失墜させる歴史歪曲反日銅像設置を中断せよ」と製作者側に要求しました。
同委員会は「徴用労働者像作家である金運成(キム・ソギョン)、金龧炅(キム・ウンソン)夫妻に起こされた名誉毀損と損賠請求訴訟に対応するために共同対策委員会を作った」と述べました。共同対策委員会には慰安婦と労務動員労働者銅像設置に反対する会、反日民族主義に反対する会、韓国近現代史研究会、国史教科書研究所などの団体も参加しています。
共同対策委員会は声明を出し、「作家は労働者像が想像力の結果というが、作家の想像力は政府の過去の公式記録に影響を受けざるを得ない。大韓民国国民ならばだれでも徴用について教科書や釜山(プサン)国立日帝強制動員歴史館追悼塔に掲示された写真などを記憶できる」と主張しました。
「こうした事実が知らされると韓国政府は今年小学校6年生の社会科国定教科書に出ているこの日本人徴用者の写真にシールを張って使い、行政安全部所管である釜山国立日帝強制動員歴史館追悼塔に掲示された該当写真も撤去した」と続けて説明します。
最後に、共同対策委員会は「芸術作品だからと聖域はありえず、芸術なのか政治宣伝物なのか議論の余地がある歴史的銅像に対し考証と関連ファクトは明確に検証されなければならない」と話しました。
像製作者である金氏夫妻は「キム・ソヨン議員らが『日本の労務者をモデルにして徴用労働者像を作った』という虚偽事実を流布し名誉を傷つけられた」とし、彼らに各6000万ウォンずつ支払うよう求める趣旨の損害賠償請求訴訟を起こしました。
金氏らは訴状で、「徴用に対する悩みと歴史が労働者像に込められなければならなかったため特定人物をモデルにせず私たちが構想したイメージで作った。労働者像のあちこちにも作家の想像的表現を込めた」と話しました。また、「2016年8月24日から8月13日まで(※原文ママ)強制徴用労働者像を作り、京都、ソウル・竜山駅、釜山、済州(チェジュ)、大田などに設置した」と付け加えています。
製作者側は「特定人物をモデルにせず私たちが構想したイメージで作った」と述べています。しかし、李宇衍氏が指摘しているように、あばら骨が浮き出るほどのやせ細った労働者の写真が確認できるのは、現在のところ日本人労働者のみです。
金氏夫婦が名誉棄損の正当性を訴えるのであれば、少なくとも、日本人同様のやせ細った朝鮮人労働者の写真を提示しなければなりません。それが無いのであれば、「金氏夫婦が作った徴用工像は日本人がモデルだった」という主張は真実を基にした発言です。
金氏らの製作物は芸術作品か政治的建造物か、議論を行う必要性があります。どれほど「表現の自由」を叫んでも、製作目的が政治宣伝であれば、それは芸術作品とは言えないのではないでしょうか。この点は、今年の8月に開催され、問題視された「あいちトリエンナーレ」と同様です。
少なくとも、事実に基づかない歴史を刻む造形物は芸術作品にはなり得ないと思います。この点は、韓国の人々も十分に考慮した上で現在建立されている慰安婦像と徴用工像を議論して頂きたいと願うばかりです。