蒸し暑い日が続いておりますが、皆様如何お過ごしでしょうか。
6月29日(土)に無事にG20大阪サミットは閉幕致しました。韓国の文在寅大統領と安倍晋三首相との会談は、いわゆる徴用工裁判の影響で行われることはありませんでした。
本サミットに先立つ6月19日に、韓国政府は日本政府に対して「訴訟当事者である日本企業を含んだ韓日両国企業が自発的拠出金で財源を作って、確定判決被害者に慰謝料該当額を支給する」方式を日本側が受け入れるなら、日本側の求める外交的協議に応じる準備があると表明しました。
当研究会HPでも、2019年5月3日の「戦時労働者問題に関する日弁連の主張に反論する」にて、慰謝料の個人請求は韓国側に求めるべきであると主張致しました。日本政府側は上記韓国政府の提案を即日拒否し、現在も日韓首脳会談目途が立っていない現状です。
こうした状況にもかかわらず、韓国の弁護団は日韓関係の破壊を継続しております。
三菱重工に元「徴用工」らへの賠償を命じた判決をめぐり、原告側の弁護団は6月21日、同社に対し、7月15日までに協議の意思を示さなければ「追加的な法的措置」を取るとした要請書を送付したと明らかにしました。
要請書で原告側は同社に対し「被害者に真の謝罪を一度もしていない状態で、何の措置もとらないのは誰もが納得できない態度だ。グローバル企業らしい姿勢で問題解決に向き合うことを促す」と主張したとのことです。
これに対し、三菱重工は27日、東京都内で開いた株主総会にて「和解に応じる予定はない」との方針を改めて強調しました。
三島正彦常務執行役員は「日韓両国間および国民間の請求権に関する問題は日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決され、いかなる主張もできないと理解している」。その上で「韓国大法院の判決は極めて遺憾であり、当社は日本政府と連絡を取りつつ適切に対応していく」と述べ、重ねて和解には応じない姿勢を示しました。
そもそも、1965年の日韓請求協議にて、当時の韓国政府が一括した補償金を渡して欲しいと日本政府に依頼し、その資金で韓国政府が責任をもって被害者に分配すると約束したのです。実際、既に2回の補償金が支払われています。
「被害者に真の謝罪を一度もしていない状態で、何の措置もとらないのは誰もが納得できない態度だ。グローバル企業らしい姿勢で問題解決に向き合うことを促す」とする原告側弁護団はこの点をどのように考えているのでしょうか。
その後、株主からは「理不尽な要求には断じて応じないでほしい」といった判決を批判する声が相次いだそうです。
元被害者や原告団に和解金を支払ったにも拘らず、再び賠償金を請求されている不二越のような悲劇に三菱重工が見舞われないことを祈るばかりです。
三菱重工株式総会の翌日である28日には、弁護団はソウルの日本大使館前で集会を開き、韓国の高等裁判所で27日に敗訴した三菱重工業に対して「上告を即刻放棄し、謝罪・賠償しろ」などと主張しました。
また、日本政府に対しても「和解を妨害している」と非難し、三菱重工が上告した場合は日本政府を相手取って提訴する方針を明らかにしました。
原告側はさらに、別の裁判で差し押さえた三菱重工の資産について、来月15日までに和解に応じなければ現金化を始めると改めて警告しました。
何度も申しますが、「徴用工」裁判は戦時労働者問題です。人権問題ではありません。従って、過去の日韓請求において締結された内容を遵守し、原告側は韓国政府に請求するべきです。
日本政府は、韓国側の一連の動きから、韓国への輸出管理の運用を見直し、テレビやスマートフォンの有機ELディスプレー部分に使われるフッ化ポリイミドや、半導体の製造過程で不可欠なレジストとエッチングガス(高純度フッ化水素)の計3品目の輸出規制を7月4日から強化することを決定しました。「徴用工」訴訟をめぐり、韓国側が関係改善に向けた具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置とされています。
歴史認識問題研究会では、戦時朝鮮人労働者の実態を現在も研究しております。本年度中に、ソウルで慰安婦像・徴用工像設置に反対する街宣集会を開催した李宇衍博士と金基洙弁護士をお招きし、戦時朝鮮人労働者の真実をテーマにしてシンポジウムを行う予定です。
現在日程を調整中ですので、続報まで今しばらくお待ち下さい。
※画像は「内閣官房内閣広報室(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201906/29g20.html)」より引用