ユネスコ「世界の記憶」への慰安婦資料登録に反対する緊急声明
ユネスコは今、8ヵ国のNGOらが申請した慰安婦に関わる文書を「世界の記憶」に登録しようとしている。私たちはこれに強く反対し、もし登録が強行された場合にはユネスコ分担金支払いの中止を政府に求める。
私たちはこれまで様々な形で同申請の問題点を指摘してきた。わが国政府も登録に当初から反対してきた。それにもかかわらず登録小委員会(RSC)は、同申請を国際諮問委員会に登録の勧告をした可能性が高い。10月下旬の国際諮問委員会 (ICA)がその推薦を却下しないなら、ユネスコはわが国に敵対しているとみなさざるを得ない。そのような不幸な事態にならないようにユネスコ関係者は以下の反対理由と真剣に向き合って頂きたい。
1 申請文書が非公開で当該国である日本の学者や関係者との協議が一切無い
ユネスコは一昨年、学術的な批判を許さない形で一方的に「南京大虐殺」の文書の登録を強行した。そのあり方が批判され、制度改革の議論が進んでいるにもかかわらず、今回も8ヵ国のNGOらは事前にはもちろん申請後にも同事案の当事者の一つである日本国政府及び日本の学者らとの協議を拒否している。彼らは、今回、同じ慰安婦に関わる登録申請をしたわが国のNGO「なでしこアクション」などとの協議さえ拒否している。
2 「性奴隷」「ホロコーストに匹敵」など偏った見解を有する団体による申請
申請を行ったNGOは慰安婦を「性奴隷」としている。これはわが国政府の立場に反するばかりでなく、多くの日本の学者や韓国、米国の有力学者の見解に反する偏った見方だ。慰安婦らは報酬を得、それによって借金を返し、多額の貯金や送金を行った者もいた。所有権の対象である「奴隷」ではなかった。
また、彼らは「慰安婦制度」を「ホロコースト」に匹敵する戦時の悲劇であると主張している。悪意を持った誹謗中傷だ。この点に関し,あるユダヤ系団体は,そのような表現は「ホロコースト」の意味をねじ曲げていると訴えている。
3 日韓両政府の合意に反対する反政府運動体による政治的申請
彼らは平成27年の慰安婦問題に関する日韓合意に反対している。日本と韓国両国政府の外交合意を否定する偏った政治的立場に立つ反政府運動団体が、自らの運動の記録などを「文化遺産」としてユネスコに登録させようとしているのだ。これが登録されれば、世界中の反政府団体の運動の記録の申請が殺到する異常事態が起きかねない。
平成29年9月26日
歴史認識問題研究会 会長 西岡力 副会長 高橋史朗