歴史認識問題研究会が公開した『佐渡鉱山史 其ノ二』について

 

 歴史認識問題研究会(歴認研)は令和4年1月26日に佐渡鉱山が朝鮮人強制労働の現場ではなかったことを示す一次史料、『佐渡鉱山史其ノ二』原本の写真を入手し公開しました。

 同書は1950年にまとめられた稿本で出版はされていません。編著者である平井栄一氏は元佐渡鉱山採鉱課長で、佐渡鉱業所を経営していた三菱鉱業㈱羽仁路之社長の依頼で佐渡鉱山の歴史について江戸時代から昭和まで2巻にまとめました。

 複写版があることが確認されていますが、原本は所在不明でした。歴認研は目次と844〜846頁にある「(九)朝鮮労務者事情」という項目の原本写真を入手して、研究会HPで公開しました。

 その後、西岡力本会会長が佐渡現地に赴き、株式会社ゴールデン佐渡にて稿本原本の実物を確認しました。紙が大変薄く、簡単に破れてしまうもので一般公開はされていません。

 原本は2011年まで所在不明でした。実は、株式会社ゴールデン佐渡の金庫に保管されていました。同金庫は火事によりカギとダイヤル番号を書いた紙が不明になったため長く開けることが出来ず、稿本原本がそこに保管されていることは忘れ去られていました。2011年に日本テレビ「不可思議探偵団」の「『開かずの金庫』第8弾!黄金の山・佐渡金山に眠る 開かずの金庫を調査せよ!」(5月16日放送)により金庫が開かれ、稿本原本(『佐渡鉱山史 其ノ一』、『佐渡鉱山史 其ノ二』[写真1])が見つかったのです。

 

[写真1]金庫に保管されていた『佐渡鉱山史 其ノ一』、『佐渡鉱山史 其ノ二』

 

 

 所有者の株式会社ゴールデン佐渡は金庫にあったものが原本であると考えています。私たち歴認研もその考えを支持しています。その根拠は、①保管されていた稿本に当時の所長ほか鉱業所幹部の捺印があること[写真2]。②所々に修正の記述があること[写真3]などです。

 また、『其ノ二』の目次ページに「控」の印と、メモ書きで「二五、八、四、発送案内で総務部へ送付した」とあります[写真4]。稿本は2冊作られ、1冊を昭和25年8月4日に東京の羽仁社長あてに送付し、もう1冊を「控え」として佐渡鉱業所に保管したと考えられます。つまり、金庫に保管されていた稿本は控えの原本です。

 

[写真2]当時の所長ほか鉱業所幹部の捺印

 

 

[写真3]修正箇所

 

 

[写真4]「控」の印とメモ書き