ウォールストリートジャーナルに関する柳教授とメディアウォッチの反応

皆様

 前回のウォールストリートジャーナル記事に対して柳錫春教授と韓国のネットメディア「メディアウォッチ」(黃意元代表)が率直な見解を述べました。

 柳教授はフェイスブックで次のようにコメントしました。
ウォールストリートジャーナルが私の問題を結構大きく扱いました。 外見上、賛否を適切に交ぜてバランスをとったように見えますが、私がインタビューに応じながらたいへん詳しく説明した慰安婦証言の変化、国連クマラスワミ報告書が虚偽と判明された吉田清治の本『私の戦争犯罪』に依存している事実、そして何より挺対協と尹美香が横領などの疑いで裁判を受けている事実等をすべて漏らしてしまっていて残念です。

 

また、「メディアウォッチ」は8月21日に次の記事を掲載しました。

米国ウォールストリートジャーナル、柳錫春教授の慰安婦問題刑事裁判を大書特筆
「韓国の柳錫春教授が大学での学問的自由に対する国際的論難の主人公になった」
                        メディアウォッチ編集部

 講義の中での慰安婦問題に関連した発言で起訴された延世大学の柳錫春(リュ·ソクチュン)教授の刑事裁判が国際的に大きな関心を集めている。マサチューセッツ工科大のノーム・チョムスキー名誉教授、ハーバード大学のスティーブン·ピンカー教授など世界的な碩学らが、柳教授を起訴した韓国の検察を糾弾する声明書を発表したのに続き、有力メディアもこの裁判に対して特筆大書を特筆したものだ。

 米国の代表的な主流ジャーナリスト、ウォールストリートジャーナル(Wall Street Journal、以下WSJ)は21日付(現地時間)の電子版にティモシー·W·マーティン記者とユン·ダスル記者が共同で作成した「大学教授が慰安婦に関する講義で起訴され、学問の自由についての議論を触発 (Professor’s ‘Comfort-Women’ Lecture Gets Him Indicted—And Sparks Debate on Academic Freedom)」と題する記事を掲載した。

 WSJは、柳錫春延世大教授が2019年秋学期の講義の中で行った慰安婦問題に関する発言をある学生が録音して広め、延世大が柳教授に停職処分を下した事実を紹介した。 WSJは続いて「これにより彼は大学での学問の自由に対する国際的論争の主人公になった」とつけ加えた。

 WSJは柳教授とのインタビュー内容について言及し、「10年以上同じ内容の講義を行い、常に学生と討論してきたが、その内容が外部に流出したことは一度もない」という同氏の発言を紹介した。 またWSJは、柳教授の講義の中での発言内容が、日本政府が女性に性行為を強要したかどうか、事実か疑わしいという内容の研究書によるものであることも説明した。

 WSJは、今回の事件と関連し、オレゴン大学(University of Oregon)に在職している廉圭昊(ヨム·ギュホ)教授の見解も紹介した。廉教授はWSJとのインタビューで、「米国でも一部の学者が講義中の発言で学内懲戒を受けることもある。しかし、国家安保を脅かしたり、物理的暴力を扇動していないのに、大学教授が刑事起訴されることは想像できないことだ(While some U.S. academics have been disciplined for classroom remarks, it is unthinkable that a professor could face indictment for a lecture, absent a strong incitement for violence or a national-security threat)」と語った。

 続いて廉教授は「私たちが嫌いな考えを持った人も保護しなければならない」とし「開かれた民主主義は私たちの見解に同意する人だけのためのものではない」と明らかにした。

 ただ、WSJはこの記事で、日本が慰安婦強制連行を認めたかのように間違って伝わっている1993年の「河野談話」、そして何の根拠もなく慰安婦を「性奴隷」と規定し論議を生んだ国連の1996年の「クマラスワミ報告書」を紹介した反面、慰安婦と関連した強制連行説と性奴隷説の可能性を低く見る柳錫春教授の主張を裏付ける学問的根拠が何かについては、具体的に一切紹介しないなど、偏向性を示している。

 WSJは、慰安婦問題については、通念から自由ではない立場を示しながらも、講義の中での発言が刑事上の問題になったことについては、批判的な立場を示した。 実際、WSJは、韓国の検察が起訴したこの刑事事件で有罪判決が下されるのは難しいだろうと展望する大韓弁護士協会の元報道官、崔鎮寧弁護士の見解も紹介した。

 崔弁護士はWSJとのインタビューで「柳教授が特定の人を名指しして言ったのではなく、ただ(歴史的対象としての)’慰安婦(comfort women)’を指しているため、処罰の根拠が弱い(Mr. Lew spoke broadly about ‘comfort women’ rather than specifying an individual, which weakens the legal grounds for punishment))」と言及した。

 

 韓国人教授が慰安婦は強制連行や性奴隷にされた可能性は低い、と学術的に説明しているにも拘らず、その説が紹介されないままでは客観的な判断が下せるはずがありません。柳教授や西岡会長を始めとした研究者の学説が世界に認知されて初めて公正明大な議論が展開されるのではないでしょうか。

                           (翻訳:西岡 力)