韓国の総選挙結果から今後の日韓関係を考察する

上記画像はhttps://www.bbc.com/japanese/52305462より引用

 

 2020年4月15日に韓国で国会議員選挙(4年に1度)が行われました。コロナウイルスの猛威の中、投票率は66.2%という総選挙としては28年ぶりの高投票率を記録したとのことです。
 結果は文在寅政権の与党(共に民主党、共に市民党)が圧勝し、300議席のうち180議席、5分の3を占めました。それに左派小政党(正義党6議席、開かれた民主党3議席)を加えると、189議席になります。
 一方、保守系の第一野党(未来統合党)は103議席、中道野党(国民の党)は3議席となり、今後、韓国ではさらに反日姿勢が強まると予想されます。

● 韓国国内選挙で「反日」のスローガン
 同選挙は、文大統領の政権運営に対する「中間評価」の性格を持つと同時に、2年後の大統領選挙の前哨戦となると言われていました。
 注目すべきは、与党(共に民主党)が今回の選挙を「韓日戦」と規定し、野党(未来統合党)を「親日勢力」と断定して、選挙戦を展開したことです。

 ソウルの中心部には「投票で100年親日清算!投票で70年の積弊清算」とかかれた横断幕が掲げられました。この横断幕はSNSなどを通じて拡散され、総選挙の争点として“反日”が急浮上したと指摘されています。

 

● 反日活動家が当選し、「親日派」のレッテルを貼られた候補者の多くが落選
 与党系の比例政党(共に市民党)からは反日活動家として知られている、元慰安婦の支援団体前代表の尹美香(ユン・ミヒャン)氏が当選しました。
 尹氏はソウルの日本大使館前に慰安婦像を設置し、毎週水曜に大使館の前で日本批判の集会を開催してきた人物です。2015年の日韓合意にも強く反発し、文政権誕生後には元慰安婦支援財団を解散に追い込んでいます。彼女の当選により、韓国政府は慰安婦問題や元「徴用工」への賠償問題などで更に強硬な姿勢を取る可能性が出てきました。

 一方で、反日デモを組織した左派団体が勝手に未来統合党の代表ら野党候補8名を親日派として指定し、落選運動を行いました。指定の理由には、反日史観を批判したベストセラー書物『反日種族主義』への賛同発言も含まれています。8名のうち6名が今回落選しました。

 

● 韓国に全体主義が蔓延する日が近づいた
 韓国の国会は1院制で、本会議か委員会で5分の3の賛成を得ると、法案をいわゆるファストトラック(迅速処理)指定することが出来ると言われています。これは、野党の反対で委員会の審議が終わらなくても、議長権限により本会議で採決できることを意味します。
 当研究会の西岡力会長は、親日発言を処罰する新法が成立して『反日種族主義』の編著者、李栄薫前ソウル大学教授らが逮捕されるという悪夢が実現する危険さえ出てきた、と警鐘を鳴らします。
「左派独裁の道を選択した韓国民」(国家国際問題研究所)

 現在、世界では新型コロナウイルスが猛威を振るっております。しかし、韓国は今回の選挙を通して「全体主義」というより恐ろしいウイルスを韓国国内で醸成させたのかもしれません。
 政府が歴史の記憶を強制し、その歴史像にそぐわない歴史考察をした者は罰せられる社会にさせないためにも、私たち歴史認識問題研究会と韓国の人々はより強固に連携してまいります。

 

参考:
「『反日』候補が大挙当選?……韓国総選挙の後、日韓に待ち受ける“悪夢”」