2020年3月3日の東京高裁判決内容を解説いたします。(その1)

                                             その2 >>

皆様

 本年3月3日に西岡会長の東京高裁全面勝訴判決をお伝え致しました。本日はその判決内容と元朝日新聞記者である植村隆氏側の弁護士団の声明をご紹介します。
 東京高裁で下された判決内容は以下の通りです。基本的には2019年6月26日の東京地裁と同様です。赤文字が高裁で追加された文言となります。

◎判決(2020年3月3日 東京高裁)

①「控訴人(植村)は、金学順が経済的困窮のためキーセンに身売りされたという経歴を有していることを知ってい
 たが、このことを記事にすると権力による強制連行という前提にとって都合が悪いためあえてこれを記事に記載
 しなかった」

②「控訴人(植村)が、意図的に事実と異なる記事を書いたのは、権力による強制連行という前提を維持し遺族会
 の幹部である義母の裁判を有利なものにするためであった」

③「控訴人(植村)が、金学順が「女子挺身隊」の名で戦場に強制連行され、日本人相手に売春行為を強いられたと
 する事実と異なる記事をあえて書いた」

 上記3点の真実性・真実相当性が争点となり、地裁・高裁共には①②は真実相当性、③は真実性を認め、西岡会長の完全勝訴となります。
 高裁では、地裁判決をさらに補強して西岡会長の主張の正当性を認めたことになります。

また、地裁同様、③の植村氏の新聞記事が捏造であったことを高裁も認めました。

  ・東京高裁判決

   原告[植村・西岡補以下同]は、原告記事A[1991年8月11日記事]において、意識的に、金学順を日本軍
  (又は日本の政府関係機関)により戦場に強制連行された従軍慰安婦として紹介したものと認めるのが相
   当である。すなわち、原告は、意図的に、事実と異なる原告記事Aを書いたことが認められ、裁判所認
   定摘示事実3[上記の争点③]は、その重要な部分について真実性の証明があるといえる。[傍線西岡]
   …この部分は地裁判決をそのまま流用

 しかし、植村氏支援団体である「植村裁判を支える市民の会」はインターネット上で東京高裁の判決内容を以下のように伝えております。

  ・植村隆弁護団の声明(「植村裁判を支える市民の会」)

    高裁判決は、①植村氏が、金氏の、キーセンに身売りされたという経歴を知っていたのにあえてこれを
   記事にしなかった事実、②植村氏が義母の裁判を有利にするために意図的に事実と異なる記事を書いたと
   の事実については、いずれも真実と認めることはできないとした。これは控訴審の大きな成果であり、植
   村氏の名誉が一部であれ回復した。
    弁護団は、本件審理の過程で、植村氏の記事が捏造ではないことを完全に立証し、同氏の名誉を回復す
   ると同時に、元「慰安婦」の尊厳回復の運動を力強く支えたと信じる。
                                http://sasaerukai.blogspot.com/
                                      2020年3月3日掲載

 上記①、②はそれぞれ地裁・高裁にて「真実相当性」が認められた部分です。確かに、「真実と認めることはできない」で間違いではありませんが、この2点は地裁判決から何ら変化がなく、むしろ西岡会長の正当性を補強して高裁は判決を出しています。
 植村氏の弁護団が何の目的を意図して、上記声明を発表したかは不明です。しかしながら、このような判決内容を曲解させる表現は問題であると考えます。歴史認識問題研究会は「東京地裁・高裁共に植村氏の記事を捏造と認定した」と正しく説明いたします。

 

★2014年の『朝日新聞』が行った「慰安婦報道検証」の甘さを裁判所が証明

 今回の一連の裁判によって、『朝日新聞』が当時の「慰安婦」問題記事検証は自己弁護の姿勢が強かったことを裁判所も認める形となりました。
 『朝日新聞』は2014年の8月の検証記事において16本(後に18本)の記事を取り消すだけで謝罪はしませんでした。理由としては、

(1)歴史上の事実は間違っていたらその後に上書きされていくものであって、歴史上の事実についての誤りは謝罪に
  はなじまない。

(2)謝罪することで『朝日新聞』の記事を「ねつ造」と批判する勢力を、「やはり慰安婦報道全体がねつ造だった」  とエスカレートさせてしまう恐れがある。

(3)『朝日新聞』を信じて読んでくれている読者の信用を失う恐れがある。

(4)反省という言葉により謝罪の意を汲んでもらえるであろう。

などと考え、謝罪しないと判断したのです。(朝日新聞社第三者委員会『報告書』p.45)

 2014年8月5日付検証記事には「元朝日新聞記者の植村隆氏は、元慰安婦の証言を韓国メディアよりも早く報じました。これに対し、元慰安婦の裁判を支援する韓国人の義母との関係を利用して記事を作り、都合の悪い事実を意図的に隠したのではないかとの指摘があります」という読者の疑問を紹介します。
 その答えとして、「植村氏の記事には、意図的な事実のねじ曲げなどはありません。91年8月の記事の取材のきっかけは、当時のソウル支局長からの情報提供でした。義母との縁戚関係を利用して特別な情報を得たことはありませんでした」としています。

 しかし、裁判所は当時の状況を整理して、植村氏の記事は捏造であったと判断しました。これは、西岡会長を始め多くの研究者や日本人が考えていたことが正しかったと証明されたと思います。

 本来であれば、言論活動に司法を持ち込むことは異常事態です。しかし、これは植村氏側が起こした裁判であり、植村氏は自身の手で裁判所の審議を仰ぎ、捏造記事と認定されたのです。

 植村氏を支援する人々は一連の裁判を「不当判決」と声高に叫ぶのではなく、植村氏を言論空間に押し出して、言論人として議論をさせていくように促すべきです。西岡会長と櫻井よしこ氏は植村氏との言論での論争を呼び掛けています。言論人が言論から逃げ、司法を使って反対意見を封じ込めようとすれば、日本国内には真実の報道が行えなくなってしまいます。
 植村氏の起こした裁判は『朝日新聞』も真摯に受け止めるべきではないでしょうか。

次回は、植村氏が一連の裁判で訴えた主張と西岡会長の反論をご説明したいと思います。 その2 >>

※西岡会長の本裁判に関するコラム
 ・公益財団法人 国家基本問題研究所 「今週の直言」
 【第662回・特別版】「慰安婦捏造記事裁判」完全勝訴の意義(3月10日掲載)

 ・SALTY – 日本キリスト者オピニオンサイト「投稿」
  植村捏造記事裁判、週刊金曜日への反論 -西岡力-(3月10日掲載)

                                       (文責:長谷 亮介)

【参考】

朝日新聞社第三者委員会『報告書』(2014年12月22日)

朝日新聞「慰安婦報道」に対する独立検証委員会『報告書』(2015年2月19日)